モーツァルトのピアノ・ソナタ第8番は、不思議な印象を受けるが、聴き込んでくると実にソリストの心が表現されているのに気付く。リヒテルのライブ盤は格が違う

22歳のモーツァルトは、母と共にパリを訪れた。
なんと職を求めての旅だった。が、半年間に及ぶ就職活動はムダに終わった。
さらにパリに滞在中の夏には、最愛の母をも病気で失ってしまう悲しい事件も起きている。
この「ピアノ・ソナタ第8番イ短調」は、その母の死ぬ直前の6月に作曲されたもの。
モーツァルトとしては余り用いることのない短調という暗く、絶望感における調性だけで書かれているだけあり、あたかも彼が母の死を予感していたかのような感じを受ける。
独特で特徴のあるメロディとなっており、彼のピアノ・ソナタの中で異色中の異色と感じる。
名盤としてはスヴャトラフ・リヒテル(ピアノ)のライブ盤が一番(DECCA盤)。

悲劇的な色調で塗りつぶさず、淡々としながら表現、技術はピカいち。タッチも優しく華麗。どこかしら暖か味があり、人間的な優しさも一杯あふれている。

Oimachi Act./おい街アクト

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