無垢の愛=「博愛」が社会に未だ残っているの ならば生きたい!もう残っていないのならば死んでも悔いはない

運命と偶然と、それをも超越する「愛」。
この作品"トリコロール"は3部作のラストで、
キェシロフスキ監督の遺作でもある。
孤独な老人とモデルの仕事をしている無垢な女子大生が出会う。
そして愛の奇跡が生まれる、起こる、生じる。
無垢な愛とは?「博愛」である。
「博愛」は奇跡をも起こしうる。

孤独な老人を演じるのは名優、
ジャン=ルイ・トランティニャン。

無垢な女子大生を演じるのは、「ふたりの
ベロニカ」でキェシロフスキに見い出された
イレーヌ・ジャコブ。
老人の飼い犬を車ではねてしまうことから、
それがきっかけとなり、女子大生と老人は出逢う。
その老人は元判事で、隣家の電話を盗聴するのが日々の暮らし。
そんな老人に女子大生が近づいていく。
老人の昔話や判事をやめた話を聞かされるう
ちに、女子大生は老人との時間や人生が近くなっていくのを感じる。
こんな純粋なヒロインがこの世に存在するという設定が、遺作としてふさわしく感じる。
この映画をどう観るのかは、観る人の心の状態や生きてきた人生がカギとなる。

今の時代にこんな博愛があるのであれば、
生きる価値はある。
そんなものが失せた社会であるのならば、生きる意味は無いかもしれない。
そういった感傷的になることが、映画を観ることの価値であり、大切なことである。


映画「トリコロール/赤の愛」
(1994年・ポーランド作品)
監督/クシシュトフ・キェシロフスキ
出演/イレーヌ・ジャコブ、
ジャン=ルイ・トランティニャン

Oimachi Act./おい街アクト

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