この映画は面白い。フランスと日本の違いが、アメリカとの違いも良く解かる

フランスへ移民したアラブ人のファミリー。
彼らとフランス人との実生活での接触。
南仏の港町セートで港湾労働者として働くチェニジア出身の移民者、初老の男性のスリマーヌと前妻のファシリー。
そして現パートナーとの生活がベースになる作品。

船上レストランを彼が開店させようと、セレモニーを開く。

そこで人間臭い信頼関係やら意地悪さ、したたかさ、女の争い、などなどが浮き彫りにされる。

セレモニーに招待された顔ぶれ。

狭い町だけにプライベートはつつ抜けで、様々な噂話が錯乱。

誰が来る?あの人は来て欲しくない‼
こんな話に花が咲く。

レストランの料理は前妻の手作りだ。
自慢のクスクスがメイン。
ところがこのクスクスが消えている。
スリマーヌは、クスクスが入った車に乗って逃げ隠れした息子を探す。
いや、作った方が早いと、前妻の家を訪ねるが…。
メイン料理のクスクスを待ち続ける来賓がそろそろ切れかかる。
現パートナーの女は、なんといい女性なのだろう。
皆を前にベリーダンスをいきなり始めて、場を盛り上げる。
その母もこっそり帰ってクスクスを作り始める。
愛らしく、エロティシズムな娘のベリーダンスが、イヤなことを一掃してくれる。

そこには民族差別や貧富の差、男と女、勝者と敗者、あるものすべてをフッ飛ばしてしまう。
このクライマックスはドキュメンターのベリーダンスのライブを観ている感覚になる。スゴい。

2013年のカンヌ映画祭セザール賞受賞。
「アデル、ブルーは熱い色」のケシシュ監督の代表作でもある。
アフシア・エルジが娘役として鮮烈デビュー。
肉々しくてスゴいベリーダンスにも感動する。
クスクスがやっと出来て現パートナーが船へ持って入っていく。
主人公の、まるで菅原文太のようなスリマーヌは、バイクを少年らに取られて追っかける。
追っかける。そして疲れてダウン。

船上レストランの熱狂に対して、この男はなんにも知らずに、なんと寂しいやら幸せ者やら。


映画「クスクス粒の秘密」
(2007年フランス作品)
監督/アブデラティフ・ケシシュ
出演/アビブ・ブファーレ、アフシア・エルジ/他

Oimachi Act./おい街アクト

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