映画を作っていく意気込みが、なんだかケタ外れ。そんな作品の中のひとつがコレ
ある日突然、話ができなくなった。
身体も動かない。
脳梗塞の「ロックト・インシンドローム(閉じ込め症候群)」になってしまったフランスの雑誌「ELLE」の編集長、ジャリ=ドミンク・ボビーのドキュメンタリー自伝「潜水服と蝶~20万回の瞬きで綴られた真実」を、ジュリアン・シュナーベル監督が映画化したのが12年前。
障害者の映画は珍しくはないが、客観的にではなく、障害者となったドミニク・ボビーの視線から自分自身、生き方、自分に関わって生きた人達、生き方、関わり方を描いた作品としている点は、とてもリアリティーであり、息苦しくもあり、生きることの価値や生命(いのち)、想い出(健常者であった頃の)、淡い生きることの意味合い、他人からは強さと思われる生命力、…。
同時に左目だけの瞬きによるコミュニケーション手法にも力を注いだ言語療法士のアンリエット。
その手法により、自伝を20万回の瞬きで原稿として成し遂げた本人と療法士の頑張り、いろいろなことが人に起こっていき、それに関わって生きていく人の役割りや存在感。
死んでいくためにも何かをしなければ、それ迄は生きていくのが辛い、難しい、苦しい…。
自分をだけでなく、人をも見ていくことにより、人は助けられ、また自分も助けられている…。
この映画の主演を実に頑張って、プロ根性を
出し切り、映画の質を向上させた役者、マチュー・アマルリックの存在感、役者の資質、根性、演技力を絶賛したい。
生きるということは、アマルリックの映画が見れることである、と言いたい。
2008年アカデミー賞4部門ノミネート、ゴールデン・グローブ賞主要2部門、カンヌ国際映画祭主要2部門他、計38部門受賞の映画だ。
映画「潜水服は蝶の夢を見る」
(2008年フランス作品)
監督/ジュリアン・シュナーベル
出演/マチュー・アマルリック、エマニュエル・セニエ、マリ=ジョゼ・クローズ、他
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