映画を作る人、観る人にとって大切な"基本"がある作品

ハリウッド映画的ではない"優れた映画"を作るための基本知識やノウハウを教えてくれる、また学べる映画はヨーロッパにある、と断言できる。

現実を撮影することの難しさを描き、「映像文化にとって真のコペルニクス的革命」と評され、世界的にキェシロフスキ監督の名前を知らしめた出世作「アマチュア」を紹介。

この映画の主人公フィリップ役を演じるのは、キェシロフスキの劇映画デビュー作品『傷跡』から『デカローグ』『トリコロール/白の愛』など、ほとんどの作品に出演し、キェシロフスキ映画の"顔"ともいうべき常連俳優であるイェジ・ジ・シュトゥール。

妻子にも仕事にも恵まれ、ささやかな暮らしに満足していた主人公が、娘の成長を撮ろうということから、給料の2倍もする旧式の8ミリカメラを買い込んだことから、諸問題に遭遇していくことになる…。

やがて家族、勤め先の工場との関係が悪化していくが、彼の工場の記念式典の模様を収めた作品は、アマチュア映画協会のコンクールに入賞してしまう…。

映画はポーランドの官僚主義や社会状況を織り込みながら、誰もが人生において選択を強いられる、自己の欲望と平穏な生活の両立、というテーマに迫っていく。

キェシロフスキの作品を観ていくうちに、この「アマチュア」には、映画作りの難しさと、大切な基本的要素がしっかりと収められていることに、目からウロコの思いがした。

日本の若手監督や、これから映画の世界に入っていこうとする人には"大切な作品"であると思える。

「アマチュア」
(1979年ポーランド作品)
監督/クシシュトフ・キェシロフスキ
(脚本は同監督とイェジ・シュトゥールによる)
出演/イェジ・シュトゥール、マウゴジャータ・ゾンブコフスカ、エヴァ・ポカス、ステファン・チジェフスキ、他

Oimachi Act./おい街アクト

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