家族の犠牲があって成り立つ!?戦地へ行く者は
戦争(戦場)カメラマンの母親を持つ2人の息子。
そして夫。
こんな家庭には生まれたくない、と思う人が多いだろう。
でも、そこが映画だから監督は作り甲斐があるのだろう。
カメラマンと評価される母親に夫と、息子2人は言いたいことも言えずに、世間の評価に従って、母親を表向きは尊敬もしくはその勇気、行動力を認めざるを得ない。
なんたって母親なのだから。
夫は妻に大して「お前が一番間違っている」とも言いたいはずだが、世間の評価に気持ちを押されるしかない。
「母は素晴らしい仕事をしている」と、息子2人に大人の父、また夫であることを演じるしかない。
息子にとっては、やはり尊敬できる母である
ことが、彼らの人生のプラスになると、父親なら良き理解者であろうとするだろう。
が、父親が良き理解者ぶることを息子たちが見破っているのならば、父親も息子も、これはとても辛い。
特に次男は性格的にデリケートで、自分を隠している父親に対しては、逆に気を使ってしまう。
長男は、父親の本心が理解出来ているが、あえてそこの部分には触れることをしない"大人"でいられる。
弟に対しては気使いをしながら接しているし、父親に対しては、同情的な立場に立ってまた気使いをしている。
家族の本音が、母の戦争カメラマンとしての
社会的評価によって、はき出せないまま時間は過ぎていく。
母親が自殺したのか事故死なのかは、実は関係なく、残された父と息子2人の3人世界がやがて持ち直していくだろうと予測させる終わり方をしている。
「ユージュアル・サスペクト」(1895年作品)
のガブリエル・バーンが父親役。
長男役は今年37歳にあるジェシー・アイゼンバーグ。
次男役はでヴィン・ドルイド。若手俳優だ。
そして母親には68歳になったフランス女優のイザベル・ユペール。
4人の好演で素晴らしい作品になっている。
映画「母の残像」
(2015年ノルウェー、フランス、
デンマーク、アメリカ合作)
監督/ヨアキム・トリアー
出演/ガブリエル・バーン、イザベル・ユペール、他
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