常識的でない脚本だから面白い(?)映画だ!!
怪しく宗教的、怪しく神話的、また怪しく医学的。
この3つはどこかで繋がっているのだろう。
表舞台で華やかな世界ほど、裏舞台では不条理なことが当然あるし、偉大なる人ほど残酷性を秘めていたり、平和的なものほど視点を変えれば悪魔的であったり—。
この作品は視点を変えれば、前記したことをいたって冷静に、考え方を変えれば医学の残酷性を明かしたことにすぎない。
心臓外科医と美しい妻、そして健康で恵まれ育った2人の子供。
そこに1人の少年が加わることによって、悲劇が起こることになる。
少年の父親が外科医の手術が失敗して死んで
しまった。
現実に起こりうることが、少年の立場から善悪の判断が下される。
彼は失敗した医者を許せないでいる。
ただ、それだけのことであるが、その少年の存在はとても怖く描かれている。
無力であるが故に、その少年の理論は間違っていないなと思わせるし、だから怖いのだ。
外科医はその少年により残酷性をやがて濃く帯びていくし、美しき妻もまた残酷な人間へと変わっていく。
ニコール・キッドマンのハマり役。
美しく、残酷な母として妻として。
70回カンヌ国際映画祭の脚本賞受賞作品。
観る価値あり。
「聖なる鹿殺し/キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア」
(2017年作品イギリス・アイルランド合作)
監督/ヨルゴス・ランティモス
出演/コリン・ファレル、ニコール・キッドマン、ハリー・コーガン、他
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