視点が鋭いフランス映画。邦画も韓流も劣る!
フランスで100万人が観たといわれる社会派ドラマ。
失業して1年半が過ぎた。妻と障害のある息子を抱えるディエリー・トグルドーは51歳。
求職活動をすれど、彼の不器用な性格は担当者に受けが悪く、ことごとく失敗する。
それでも彼にとっては畑違いのスーパーマーケットの警備員の仕事にかろうじてありつく。
監視カメラでチェックするのは客の万引きだけではなく、同僚となる従業員の不正の証拠映像。つまり解雇させるための会社側の正当なる理由集めの仕事が、彼の仕事でもあった。
生きていくため、家族を養うために必死で働かなければならない主人公を通して、世の中の非情なシステムを描いていく。
監視カメラをこっそり取り付けている会社が増えている。
監視カメラを堂々と置いて、社員が余計な話をさせないようにしている会社もある。
まるで囚人と同じ扱いをされているような"労働者"。
カンヌ国際映画祭とフランス版アカデミー賞のセザール賞で主演男優賞に輝いたヴァンサン・ランドンが渋くて味がある演技をしている。
共演はほぼ全員が演技経験のない、実際の役柄で仕事をしている"働く人々"。
我々が生きている社会の不条理が、ドキュメンタリー畑の撮影監督により映し出される。
答えが出ない問いかけを映画はしている。フランス映画の持ち味が十分に活かされた秀作だ。
映画「ティエリー・トグルドーの憂鬱」
(2015年フランス作品)
監督/ステファヌ・ブリゼ
主演/ヴァンサン・ランドン、イブ・オリィ、カリーヌ・ドゥ・ミルベック、他
0コメント