個性のない声ほどシンガーとしては得なんだな
惚れっぽい人にありがちな誤解、過剰評価。が、これがアーティストや芸術を支えることになる訳だ。いわゆる"人気"の正体とは人間の持つ"思い込み"に他ならない。
音楽。とりわけロックやポップスの世界によくある一発屋。
どうしてもっとヒットを出さないのか?
どうしてもっと人気が出ないのか?
一曲、せいぜい二曲がヒットしたなら、どうしても後が続かないのか?と思うのが人の気持ち。
振り返ってみると、生涯を通して音楽活動もしているミュージシャンこそ、うらやむべき素晴らしい生き方のひとつだ。
もちろん実力。運の良さ、強さが人間の実力も左右することもあるが、「先見の眼がある」―この状態が永く続くことが、これまた才能であったりもする。
作詞・作曲の出来るミュージシャンは、やはり息が長いし、ミュージシャンとしての一番の強みである。
代表格はボブ・ディラン。
前置きが長くなってしまった。
「霧の中のジョニー」(1961年)と、「霧の中のロンリー・シティ」(1963年)がヒットした英国のジョン・レイトン。
この人は映画「大脱走」(1963年作品)にも出演し、20代前半までは素晴らしい活躍をみせていた。
「大脱走」は史実を基にポール・ブリックヒルの同名小説を映画化したもので、スティーブ・マックィーン、チャールズ・ブロンソン、ジェームス・ユバーンと、そうそうたる俳優が出演した大ヒット映画。
ジョン・レイトンは今年84歳。
20代後半からの人生は、どういう生き様だったのだろうか。
ジョン・レイトンのアルバムCDを購入した。
この人が歌の世界で人気が続かなかったのは、まずビートルズらの出現により、音楽の状況が大きく変化したことがあげられる。もちろん、この変化より消滅していったミュージシャン、シンガーは沢山いるが。
そして、もうひとつはジョン・レイトンの個性的すぎるボイスが万人向けではなかったこと。
一発屋にありがちなヴォーカルの質というのが、やはりある。
ベトナム反戦歌「明日なき世界」を歌ったバリー・マクガイアも、個性的すぎるアリの強いヴォイスだった。
息の長いシンガーは、個性的すぎない声の人が多い。
インパクトの強い声は瞬時はうけるが、アキがきてしまう。
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