デリカシー、ロマンティシズムなシューマンを偲ぶ
1810年の6月8日ドイツのツヴィッカウで、作曲家シューマンが生まれた。
46歳の若さで亡くなるが…。
シューマンは、長い恋愛の末に結ばれたクララへの贈り物として、結婚式の前夜、歌曲集<ミルテの夜>捧げた。
この歌曲集の冒頭の言葉―。「きみは、わが魂、わが心…」。クララに対するシューマンの熱烈な気持ちをあらわしたものだった。
クララは結婚式の日の日記に綴っている。
「長い長い年月だった。…いま新しく、美しい生活が始まろうとしている。………ほかの誰よりも愛する彼に抱かれた生活が始まろうとしている。だが、一方でまた重い重い責任が、わたしの上におおいかぶさっている。神よ、わたしに、それらに耐えるこのできるような、良き女性となる力を与えたまえ…」
シューマンは「交響曲第三番」などの大作をやがて完成させていくが、彼のデリケートな神経は、オーケストラの指揮者のように対人関係で気を使う仕事が不向きであった。
一時的にブラームスより救われるのだが…。
44歳の時に、幻聴に。
神経が疲れ切ったシューマンはライン河に身を投げる。
幸い近くにいた人に救いあげられるが、精神病院に廃人同様の姿で入院し、再びその病院から出る事はなかった。
ピアノ曲「子供の情景」はシューマンが結婚する2年も前に作られている。
詩人の目から見た子どものいろいろな情景をシューマンが描いたもので全十三曲からできている。<トロイメライ>は美しい旋律で親しみやすく単独でも演奏されることが多い。
シューマンのロマンティシズムが実によくあらわれた傑作だから、全曲を通して聴いて欲しい。
エリック・ハイドシェック(P)の「子供の情景」も素晴らしい。
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