アメリカの抱える問題をフランス映画が描いた
「コンプレックス…」と彼が口にする。
主治医は言い返す。「そんなオーバーな病名をつけて、何になる‼"心的感傷"とはギリシャ語で、『魂のケガ』という意味だよ。症状に"病名"をつけて一体、何になるのか‼」
こう言ったやり取りが、やがて彼を"再生"していく。
映画「ジミーとジョルジュ・心の欠片(かけら)を探して」のクライマックス・シーンでは、西洋精神学に対する痛烈な批判が語られる。
ジミーは、あの「ボーダーライン」のベニチオ・デル・トロが演じる。インディアンであり、第2次世界大戦から帰還後、原因不明の症状に苦しむ男を。
フランス人の精神分析医には、あのマチュー・アマルリックが。
ジョルジュ・ドゥヴルー著の「夢の分析:或る平原インディアンの精神治療記録」が原作。
フランス映画だが、英語で撮影され作られた力作で、世界中で公開された。
「彼がインディアンだから治療を受け持ったのではない。そんなアメリカの抱える問題を私は背負う気はまるでない」という分析医は、痛烈にフランス人としてのアメリカに対する批判をやってのける。
アメリカ映画ばかり観ていると、アメリカ被れしてしまう"危険性"を問い正す映画でもある。
個性俳優の存在感がスケールでかく、題材も地味ながら、とても奥深く"差別"、"平等"、"友情"、"個性"、"信頼"、"愛情"が描かれている。
作品「ジミーとジョルジュ・心の欠片(かけら)を探して」
(2013年フランス作品)
監督/アルノー・デブレシャン
出演/ベニチオ・デル・トロ、マチュー・アマルリック、アルノー・デプシャン、他
0コメント