時代に翻弄される痛々しい人生がある、あった。
ナチスの映画は、ドイツも作り続けていく。これは世界に対する、ドイツからのメッセージとなっているのだろう。同時に東西冷戦の苦痛も…。
この映画「誰でもない女」は第2次大戦中、ノルウェー占領下のドイツ兵とノルウェー人女性の間に生まれた子供の、人生を通してのしかかってくる哀しい"宿命"を描いている。
ナチスの人の増加計画<レーベンスボルン(生命の泉)>を告発した作品ではあるが、東西冷戦のもたらした一人の女性の悲劇をも痛烈に訴えかけてくる。
ベルリンの壁の崩壊後、ナチス時代の"被害"は、東西対立がもたらした政治的な力関係によって、さらに歪な問題を人々に課してしまった。
この作品は2度、3度観ることによって、ようまく"時代"、"政治"、"戦争"、"生命力"、"愛"、"宿命"などもかみしめることの出来る、奥深さがある。
実話にもとづいたサスペンス映画。
ユリア―ネ・ケーラー、リヴ・ウルマンの2大女優の名演が実に味わい深い。
各賞受賞作品。
作品「誰でもない女」
(2012年ドイツ・ノルウェー合作)
監督/ゲオルク・マース
出演/ユリア―ネ・ケーラー、リヴ・ウルマン、ケン・デュラン、他
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