お金をかけないでも良作を作っていくフランスは映画人の層が厚いのだ
フランス映画。2009年の作品。
セザール賞(フランスのアカデミー賞)の10部門でノミネートされ、フランスで大ヒットした感動ドラマ。
「君を想って海をゆく」が邦題。
この映画の素晴らしいところは、価値観、生き方、立場の違う男性2人と女性2人の絡み合いを通して、解かりやすいドラマが展開していくこと。
テーマは夫婦の絆。その夫とクルドの難民少年のビラルとの"友情""愛情”。そしてビラルの恋人のイギリスにおける社会的、あるいは難民としての立場。はたまた生きることへの厳しさ。そして少年ビラルの恋人への想い。
そして、彼を知って諭される夫の妻に対する情の深さ。
社会的問題としての難民へのフランスにおける対策。人間としての善意と権力構造からの圧力。
そして無謀にも、少年のドーバー海峡を泳いでイギリスに住む恋人に逢うために渡ろうとする、がむしゃらさ。
それをかつては水泳選手として脚光を浴びたが、今はコーチの庭に甘んじている男の、少年によって揺り動かされる"忘れた心"への回帰。
こういったものが、自然な絡み合いで映画は進んでいく。
「10時間かけて泳いでイギリスに渡る」―この挑戦を少年はやるしかない。
コーチ役に名優ヴァンサン・ランドン。
クルドの少年役ビラルにフィラ・エヴェルディ。
監督は「パリ空港の人々」のフィリップ・レオン。
役者もいいが、脚本も素晴らしい。
いい監督、脚本家も少なすぎる。
今村昌平の「うなぎ」を又、観たくなった!
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