ハイドンのように辛い男がいると、安心する!?
西洋に「慌てて結婚し、ゆっくり後悔する」という諺がある。
オーストリアの大作曲家、ハイドンのためにあるような諺だ。
ハイドンが、ようやく生活の見通しが立つようになり、人並みに結婚を考えるようになったのは27歳で、ボヘミアの貴族モルツィン伯爵の宮廷オーケストラの楽長になってからだ。
それ迄の彼は苦闘の連続で、女性のことを思う余裕、ゆとりさえなかった。
彼が生涯の伴侶として目をつけたのは、彼の音楽の弟子で、髪結い師のペーター・ケラーの娘テレーゼであったが、ハイドンがプロポーズしようとした矢先、何故か修道院に入ってしまった…。
あわれな片想いになげくハイドン。
が、テレーゼの父親のケラーは、妹娘がダメなら姉娘はどうかとハイドンに持ちかけた。
婚期の遅れていたマリア・アンナ・アロイジアとの結婚をハイドンに承諾させてしまい、2人は1760年の秋に結婚。
28歳の新郎ハイドンに対して、新婦は3歳年上の31歳。
ハイドンはその後、40年間もこのマリアの悪妻ぶりに苦しめられるのである。
ハイドンは「私の妻は、わたしが芸術家であろうと、靴直しであろうと、どうでもよかったのだ」と後に述べている。
実際にマリアは、ハイドンの楽譜をケーキを作るための下当てに使ったり、髪をセットするのに使ったりして、平然としていた。
温厚なハイドンも最初は我慢していたが、我慢しきれずに、夫婦仲はやがて冷めたいった。
ハイドンのこんな話を知ると、ハイドンに対して好意を持ってしまうほど、僕の結婚も大変であった…。
男性たるもの、生活の見通しが立ってくると、ここで一挙に人生航路を突き進もうと、覚悟してしまう。
そして、"ゆっくりと後悔する"のである。
ハイドンの弦楽四重奏曲第一七番ヘ長調作品3の5「セレナード」、第六七番ニ長調作品64の5「ひばり」、第七六番ニ短調作品76の2「五度」、第七七番ハ長調作品76の3「皇帝」。イタリア弦楽四重奏団盤をおススめ。黄昏時の人生においては共鳴してしまう。
弦楽四重奏曲ハ長調作品76の3「皇帝」第2楽章を!
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