シリーズ③吉本新喜劇 品がない!?バカラシ~!?から離れた、味がある世界。

(前回に続く)
花紀京の声。これまた天性の役者の"声"である。
やや低い。そして安定したテンポ、リズム。どんな状況にも安定して、感情が先走りしない。
馬鹿な話(セリフ)も真面目な話(語り)も同じトーンとリズムで流れていく。
 
声の通りが良い。喜怒哀楽を込めても、とても安定している語りとなる。
とても中道的であることが、回りの芸人達を共存させているし、バランスを保っている。静の花紀京に対して、動でいく他の芸人達。他の役者とは相対的で、演技、しゃべりは食卓のご飯である。これが「座長」としての存在感であることが、素晴らしい天性の才能なのだ。
 
花紀京の観察力、これは他の役者を実によく見ている。
芝居の笑いに自分の発見したモノを上手に使う。役者を常日頃から、よく観察している。
「お前はトカゲや!」
 
「お前は食用ガエルか!?」
 
こういった一言は、ギャグでしかお笑いがとれない芸人には手が届かないアドリブだ。
 
花紀京はあくまで中立的であることからこそ、他の芸人が面白く前に出ていく。
 
静と動、陰と陽のバランスが、花紀京の築いた吉本新喜劇のお笑いの世界であり、芝居の"味"だ。
 
「お前は古い!もう90やろが!」(花紀京)
『あるものがないのよー』に対して、
「70過ぎたら、皆ないわ」(花紀京)
『…』
「69か?…」
 
差別的なギャグではない。真の"笑い"心を得ているのだ。
(続く)

Oimachi Act./おい街アクト

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