弘田三枝子の回想⑦ このCDは魂が込められている。
ライヴが無事終了し、編集作業を2日後(?)に福岡のスタジオですることになった。
「どの曲を使用するか?」「曲を入れる順番をどうするか?」
この問題がクリアーに進むように大原社長が上手に段取りをして、基本的な作業はまとめ上げてくれていた。
一番、難しかったのがリヴァーヴをどこまできかせるか?という、意見の相違があったことだ。
徹夜での編集作業で、疲れるとリヴァーヴが心地良く感じたものだ。
そして、自分らがいつも聴いているオーディオの"音"に基準を合わせてしまう。
ライヴを永くやっているミュージシャンは、生々しい音を欲するだろう。
一方、歌い手は自分の歌が最高に聴こえるように編集でもっていきたいはずだ。
そこの妥協点をどこに見い出すか?
この問題が後々まで残り、再発以降のアルバムは大幅なリヴァーヴの修正が加えられた。
今聴いてみると甲乙つけがたい。
あとはリスナーが判断してくれる。
当初は3000枚プレス。再発で2000枚を3回やった(?)と思う。
ミュージシャンにとって一つの作品(音)を残すということは神経を酷使する作業だ。
皆、個性を出し切っている素晴らしいライヴだった。
皆が納得して「良かった!」よりも、「やや悔いの残る」。こちらの方が、その後の人生のおいては作品の創造力の力の源になるようだ。
岩崎さん、田部さん共に、即、個人的なCDを制作して発表した。
アンバランスなものを修正する必要があったのだろう。
ライヴ録音を音にして残すという新聖かつ危険な創作は、まさしく芸術である。
今日はクリフ・リチャードの「エンジェル」を聴いてください。
0コメント