令和食文化問答
1970年代になると、アメリカンと言われていた薄めのコーヒーが登場する。
この時代すでに、コーヒー豆の焙煎に関して、福岡市は浅く、北九州市は深くが定説になり始めた。
福岡市はホワイト・カラーの街だから、サラリーマンが1日にコーヒーを三、四杯飲むからコーヒーは薄めの味を好むと。
北九州市はブルー・カラーの街。濃いコーヒーを好む人が多い。
アメリカの南部には当時、湯をスプーンに一杯いっぱい入れてコーヒーを濃く淹れる、ジョージァン・コーヒーがあると言う話しが伝わって来ていた。
本当かよ?と疑いたくなったが。
北九州市が労働者の街であったのは間違いないし、イコール貧しい黒人の図式、これは納得させられるものがあった。
ジャズ喫茶が北九州市には数多くあったし、ブルーカラーの人がジャズを好む。だからジャズ喫茶のコーヒーは濃くあるべし。
この論理も成り立った。
北九州市のコーヒーは、濃い時代が続くのであった。
「濃いコーヒーを美味いと感じたら薄いコーヒーは飲めなくなる」。
これは「マヤ」のマスターの格言的御言葉だ。このマスターを僕は尊敬していた。
令和食文化問答の音楽は、ペギー・リーの「ブラック・コーヒー」をお聴き下さい。
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