令和食文化問答
釜揚げパスタに人気が出た頃から、パスタは注文を受けてから麺を茹でる。
これが正統なイタリアンのパスタ料理と言う価値観が生まれた。
確かに。
だが、果たしてお客様は麺の茹で方の違いが解っていたのだろうか?
あるイタリア料理の店では、最初からパスタを茹でて、料理を手早く出す方を客は望んでいると、イベント的なディナーには対応した。
またあるパスタ専門店では、一人前に乾麺を120グラム使い、そのボリュームが人気を博した。
その店も半茹でしたパスタに下味を付け、オーダーが入ると暖めて再度味を付けてパスタを完成させていた。
釜揚げパスタで人気のあった店は、決まって客席が少ない。
これが損益分岐点を下げるやり方で、カウンター内の厨房に2人。
これなら釜揚げパスタの店は成り立ったのだ。
さて料理には隠し味が付き物。
釜揚げパスタの隠し味に、昆布茶を用いる店があったことを記しておこう。
料理人で正統派を自負する人は、半茹でしたパスタなんか料理ではないと言う。
乾麺を細いものを使わないと、茹でる時間がかかり過ぎるから致し方ない。
そういった条件から、細麺を使うペペロンチーノを得意とする料理人が現れて来たりする。
料理人の苦労は客席からは解り辛いが、そこは格闘の世界に通じる。
乾麺を茹でる際に塩を入れるのは、麺を最初から半茹でした喫茶店のやり方。
イタリアンの店では、ソースで勝負するのがプロ。
(続く)
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