誰も信じられない。周りには元ナチスの人間ばかり。執念だけでナチスを欺き、アイヒマンを追いつめた男の物語

「アイヒマンを追え!ナチスがもっとも畏れた男」。
この映画は戦後まもないドイツの真の姿を描いているのが、実に社会的である。
主演はブルクハルト・クラウスナー。
 
ナチス戦犯のアイヒマンを捕らえることに執念を燃やした、フリッツ・バウアーの伝記的作品。
映画はサスペンス・タッチで進んでいく。
検事長バウアーの公私にわたる素顔も映し出していくことで、よりリアリティさが濃くなっていく。

「東ベルリンから来た女」に出演したロナルド・ツェアフェルトもバウアーを支える部下として好演している。
映画の中では、アイヒマンが当時アルゼンチン潜伏していたことを、CIAは知っていた。
ドイツの武器をイスラエルが購入することで、アイヒマンの裁判はイスラエルで行われることになった。
これにもアメリカが関与している。当時のメルセデスに元ナチス党員が働いていた。
バウアーがバイセクシャルであったことも映画は避けずに描いていく。
この辺りは臭いモノに蓋をとった映画として評価すべきだろう。
 
2015年のドイツ作品。
ドイツ映画賞を多数受賞。
監督はラース・クラウメ。
 
キレい事だけで世界は動いていない。様々な思惑や駆引きがあって国と国は繋がっていく。
外交とはそういった損得勘定を基にした駆引きをする公の戦略的な国策の要である。
表に出る事件の報道には、必ず裏がある。
その裏が公表されるには時間がかかる。
なぜならば安定した政府であることを国民が、そして他国も望んでいる場合があるからだ。
注目の女優、リリト・シュタンゲンベルグが美しい女性、いや男性を演じているのも印象に残る。

Oimachi Act./おい街アクト

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