令和食文化問答 牛肉が食べたいのか?スキヤキもどきが食べたいのか?
洋食と日本食の融合が成されたのは、一般庶民の間では大正後期になるようだ。
大正時代は混乱の食術の時代であった故に、料理人、料理家の類の人達の間には様々な論争があったと伝えられる。
料理に口うるさい人が多いのが、大正時代に良い暮らしをした人達の中に多い。
特徴づけるのが「スキヤキ」。
鍋将軍のような人がいて、手際良くスキヤキを作る。
牛の脂身を厚い鉄の鍋で充分に溶かして、牛肉を焼く。この時に砂糖、味噌、醤油で味付けをする。
正式には、この牛肉を最初に食べる。
牛肉を食べ終えたら、次はその汁を菜に浸して焼く、煮る。
手順はこうだ。
最初から菜を入れるのは邪道(?)らしい。
さて、「スキヤキ」。
この菜の中に白菜は入れるが、キャベツは入れるか?
キャベツは入れないのが正道。
新婚の夫婦。妻は秋田県の生まれ。秋田では「スキヤキ」の中にキャベツを入れた。
ところが夫は福岡の生まれ。
キャベツを入れる妻に対して呆れてしまった。
さて、次の話は会社が倒産したために貧しくなった家庭の話。
「スキヤキ」が食べたくなったオヤジ。牛肉を買う金がないので、羊の肉を買って「スキヤキ」を。
このオヤジ、羊の肉は嫌いではない。だから「スキヤキ」でも食べられる、と思い込んだのだろう。
ところが羊の肉の匂いは、「スキヤキ」には合わない。
子供ら、そして奥さんも一口食べて「オェ~!」。
責任をとってオヤジは半分その「スキヤキ」を平らげた。
「スキヤキ」の牛肉の代用にはならない羊、豚、馬の肉。鶏肉も。
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