バリー・マクガイア/明日なき世界

今後、反戦歌などを若者が唄い、
しかも全米で大ヒットし、
ビルボードの一位に輝くことなどはないだろうと、懐かしくこの曲を聴く。
タイムリーにこの体験をした僕は、
アメリカという国の音楽の力の凄さ、
同時にベトナムでこんな惨劇が起こり、
ベトナム人はもちろん、
アメリカの10代の選挙権もない
若者がベトナムに送られて命を落とす。
果たしてアメリカは善か悪か?
それとも共産圏の旧ソビエト、
中国が善か悪か?
答えが解からないままロックを聴き、
テレビでは学生運動の様子を見て、
何もしない自分とロックが好きな自分の狭間の中で、将来に対する夢もなく、
ただ自分は何をするべきか?
と刹那的にロック・バンドに懸命になっていた。
ケネディ大統領、キング牧師、マルコムXが
暗殺され、日本では三島由紀夫の割腹自殺、
連合赤軍のリンチ、よど号ハイジャック…。
アメリカが揺れ動くと日本も揺れ動くのか。
それだけは確信を持てたが、
ノンポリのロック好きでしかなかった。
ロックこそが今の自分の音楽である
と信じて疑わなかったし、
ロックをしている時が青春だった。
この「明日なき世界」は
10代のP.F.スローンが核戦争により世界の破滅、
恐怖をストレートに描き、
戦争に対するメッセージを強く訴えた。
当初、バーズに曲を提供したが、
ロジャー・マッギンは方向性の違いから、断る。
結局、バリー・マクガイアが唄うことになり、
600万枚のセールスを記録。
この一曲でバリー・マクガイアは名は売れるも、
その後はヒットに恵まれずじまい。
日本ではRCサクセションや高石友也が
日本語カバーで唄った。
アメリカも変わった。
強いアメリカは中近東でテロと戦う。
反戦歌はアメリカで聞こえてこない。
(65年の作品)

Oimachi Act./おい街アクト

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