偉大なる芸術家チャイコフスキーはお好き?
女性ソリストの火花が散るようなピアノ三重奏曲「偉大な芸術家の思い出に」を名盤と言わないなら珍盤か。
この作品は結婚生活が苦して鬱っぽくなっていたチャイコフスキーの不幸なる時期の作品。
そして友ルビーシテインへの追悼音楽でもあるから、哀しくうちひしがれた男の影が見えるようだ。
チャイコフスキーは必要以上に長い章をかく。
ソリストのためにそうしたのだろうが、
聴き手はたまにうんざりすることがある。
有名なピアノ協奏曲第1番も。
映画「冬の華」のワンシーンの話。
高倉健が名曲喫茶で「チャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番をお願いします」とリクエストするが
ウエイトレスは「今、かかっています」と答え、恥をかく、そんなシーンをふと思い出した。
話を戻そう。
この三重奏曲の第2楽章も長いが、ソリストの真価が問われる三重奏曲でもある。
何十種類もの盤を聴いた中で、こりゃ激しい競奏だ。これは女性の戦いだと感心させられたのが、この作品だ。
ヴァイオリンはナージャ、ピアノはセシル・リカド。この掴み合いのようなヒステリックな対決を見守るのは、チェロのアントニオ・メネシシ(男性)。
ナージャは今も売れている。
セシル・リカドは何故かそうではない。指揮者に好かれないと出番がなくなる。
これもクラシック界の現実だ。
とにかく印象は激しい、だから飽きない。
言い方を変えれば、これも素晴らしい演奏なのだ。
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