一流のヴァイオリンニストの2人、ツインマーマンとサイモン・スタンデイジ
世界で現役として活躍しているヴァイオリンニストで誰が一流か?ということも語るなら、間違いなくフランク・ペーター・ツィンマーマンだ。何を基準にツィンマーマンを掲げるかというと、J・S・バッハのヴァイオリン協奏曲第一番、第二番で聞き比べると、非常に解かりやすい。一流どころは多くいる。ナージャ、クレーメル、職人芸的なヴァイオリンを奏でていた若かりし頃のパールマン、スターン、チョン。日本人で探すなら五嶋みどり、知名度が先行しているが、諏訪内晶子、となる。
バッハのヴァイオリン協奏曲を聞き比べて30余年、ツインマーマンは不動だ。
格調高く、瑞々しい。23才の時の録音が色褪せることなく躍動感をもって鳴り響いている。クレーメンのテンポは速く個性的でありすぎる。モーツァルトからバッハ、ベートーベン、パカニーニ、イザイと難曲も含めて耐えず安定している。
ヴァイオリンという楽器もまた、性格が出やすいが、出すぎるのもよくない。出ていそうで、実はそれが完成されているものでなければ一流とは言えない。個性が完成度として成り立つのは、実は超人的な才能とテクニックを要するもので、クラシックのソリストは「らしさ」を欲求されないので、一流は数少なくなる。
古楽器のヴァイオリン奏者でこの人を掲げておきたい。トレヴァー・ピノック・イングリッシュ・コンサートでバッハのヴァイオリン協奏曲のCDを出した、サイモン・スタンデイジ。彼のヴァイオリンも正統的で、クセがないようで、完成された個性が作品を十二分に表現している。戸畑市民会館があった30年前に「トレヴァー・ピノック・イングリッシュ・コンサート」の演奏会を主催した。その時にサイオン・スタンデイジと話をする機会があった。温厚な人柄で、”オゴリ”がまるでない人で、古楽器の楽しさを語ってくれた。彼の首と肩の間、ヴァイオリンをはさむ皮膚に、いわゆるペンダコのタコのような堅くなった部所が広くあったことに驚いた。未だに音楽普及に力を入れて活躍しているのが嬉しい。バッハのヴァイオリン協奏曲集のジャケットには、その時サイモン・スタンデイジからいただいたサインが入っている。
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