女傑俳優ジャンヌ・モローは世界の映画界の女優の「悪や嫌悪や憎たらしさ」のすべてを一人で背負って演じたと言っても、言い過ぎではない
「年齢は愛情から私を守ってくれないけど、愛情は私を年齢から守ってくれる」
「恋愛はポタージュのようなもの。初めの数口は熱すぎ、最後の数口が冷めすぎている」
「愛の戯れは、車の運転に通じます。女性は迂回が好きだけど、男は近道が好きだから」
これはフランスを代表する大女優ジャンヌ・モローの恋愛名言集から特に筆者が「さすが!」と思ったもの3点を選んでみた。
ジャンヌ・モローと比較されるのが
カトリーヌ・ドヌーヴ。
ドヌーヴはフランス的な女性で
美しさと可憐さで人気を得た。
ジャンヌ・モローは
非フランス女性的で悪女が似合う。
意地が悪い。倦怠感に満ちて、
タバコが最高に似合う、
まるで場末の飲み屋のママも地でいける、
付き合いたくない女だ。
これほどに心底根性の悪い女優は他にいない、と思わせる役柄を地で演じたのではないかと思わせる役者だった。
顔はキツい。
口がへの字は演技か?地か?
目つきで演じている。
笑顔は似合わない。
とんでもない女を
堂々と演じるから凄いのだ。
89歳で亡くなったのが2017年のこと。
ヌーヴェル・ヴァーグの作品の中で、
主演女優として君臨しているカリスマの存在。
「死刑台のエレベーター」が
代表作と言われるが、「マドモアゼル」で
見せた女教師はフランスの方田舎での物語。
森で働く木こりのたくましい肉体に欲情し、
田舎の女性からは”いい先生”と勘違いされ、
男たちからは”清い先生”と勘違いされていることを自覚しているしたたかさ。
水門を開けたり放火したり、
飼育している牛や馬の飲み水に
毒を入れたりして村をかき乱す。
村八分の世界でイタリアの木こりが疑いをわざとかけられるように仕向け、自分は木こりを征服する。
とんでもない悪い女を、
他の女優が演じられないくらいに、
成りきっているのが凄い。
ジャンヌ・モローを知らない
映画ファンが観たら、
今時の女優が軽~く見えてくる。
「マドモアゼル」
1966年仏・英合作
監督/トニー・リチャードソン
出演/ジャンヌ・モロー、エットレ・マンニ、他
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