物語を身にまとう・・・。味わい深い古着屋「NO SIDE」

物語を身に纏う。

そんな経験をしたことがあるだろうか。
時代を超えて様々な人の手を渡り、
時には国境をも越えて
運命のように巡り合う。

物語や歴史を感じさせるアイテムの中で、
古着やアンティーク雑貨は
その最たる例である。

デビューするまでごく普通の女子大生だった私は、
古着というものに全くと言っていいほど
触れる機会がなかった。

誰かの服を着たのは幼い時の
4つ上の姉のお下がりくらいだろうか。

いわゆるファストファッションを好み 、
比較的入り易いような街中の古着屋に
入ることもなかった。
それがなんということか。
今の私にとって古着は
アーティスト活動に欠かせない要素であり、
自己表現の一つとなった。

今回は私が古着に出会うきっかけとなった、
衣装において大変お世話になっている
北九州若松の古着ショップ「NO SIDE」の
オーナー、 端野氏にお話を伺った。

知る人ぞ知る若松の隠れ家的古着ショップ、
「NO SIDE」 。


足を踏み入れると所狭しと並ぶ洋服や
アンティーク雑貨に 圧倒される 。
今更だが「NO SIDE」を古着屋と呼んでしまうのは悩ましいところだ。
というのも、ここにはフィギアや楽器、
食器や自転車、乗馬のサドルまで、
とにかく何でもある。

全ては端野氏のコレクションであり
立派な商品で、欲しいものがあれば
買い取ることも可能だ。

店内の雰囲気は
大好きな「トムとジェリー」の
世界観をイメージしたという。


確かに、
大小さまざまな雑貨や色とりどりの洋服、
靴や鞄の間を楽しそうに駆け回る
トムとジェリーの姿が目に浮かぶ。 

カウンターに座れば
コーヒーや紅茶、アルコールも
頼むことができる。
一服するもよし、
高く積み上げられた雑貨を眺めるもよし、
訪れた人が皆思い思いに過ごす、
まさに男のロマンが 詰まった空間である。

幼い頃から
古着や映画などが好きだった端野氏は
大学卒業後、単身で3ヶ月間
アメリカへ飛んだ。

映画からファッションの着こなしなどの
インスピレーションを受けており、 
現地では街行く人の着こなし方や
土地ごとの空気を肌で感じた。

広大なアメリカという地を
シアトル以外制覇したというから驚きだ。
食費や宿代を抑え、なるべく安く移動したの
思い出を語る表情は、
まるで少年のように輝いていた。
旅を終えた端野氏は
その後東京で就職をする。

3年弱、東京での生活を経て、
海や自然が恋しくなり
故郷北九州へと帰った。

その後は地元で働きながら、
40歳を過ぎたあたりで
「好きなもので溢れた店を開く」
という長年温めていた夢を叶えたのであった。

端野氏が
「NO SIDE」をオープンしたのは
今から8 年ほど前。

知り合いを通じて巡り合った店舗は、
元は居住用の部屋だったという。
自ら畳や天井を剥がし、
立派な木のカウンターも手作り。
外注したのは電気、水道工事ぐらいだと。

よく目をこらすと床の一部にお風呂場
のタイルを見つけることができた。
汗をかき一から店を作り上げた過去を
「楽しかった。でも今、もう一度同じことを
するかと言われたら考える」
と笑う端野氏であった。

時代劇ならば
殿様の城よりも
庶民の家などに生活を感じる。
車では
フェラーリなどの高級車よりも
一般的な自家用車に惹かれ、
その中でも
「よくできたもの」
「長く使えるもの」
に心揺さぶられるそうだ。


「NO SIDE」に並ぶものは全て端野氏が
そう感じた商品であり、その考えは
環境問題や教育問題にも通じるという。
「NO SIDE」は今の時代には珍しく、
HPやSNSでの発信を一切していない。
隠れ家的要素を大切にしているため、
今後もそういったアプローチをする予定は
ないそうだ。

地元の人をはじめ、
嗅覚の鋭いおしゃれな人々が
口コミでじわじわと広げてきた輪を、
きっとこれからも同じように大きく
していくのだろう。

音楽とファッションは
切っても切り離せない。
長い歴史の中、人から人へ受け継がれ、
変わり廃れゆき、流行が繰り返すなど
共通点も沢山ある。
端野氏が語るように
いい物は長く付き合うことができる。
そして同じように、
いい音楽は長く愛される。
そんなことを考えながら、
前の持ち主のメッセージを受け取るように
シャツに腕を通す。
繊維一本ずつに物語がある古着を身に纏い、
私も使う言葉一つ一つに物語を感じさせる
アーティストでいたい
と強く思うのだった。


取材・文責
シンガーソングライター 波多野菜央

撮影
浅川三四郎

NO SIDE
北九州市若松区浜町1-6-23 103号
営/12:00~20:00 
休/火曜
TEL/080-1773-3939

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