風土病を約90年かけて克服した。 日本住血吸虫には、自然破壊が天敵だった

風土病と言っても、若い世代にはピンとこないだろう。

数多い風土病の中でも、最も撲滅に時を要したのが、日本住血吸虫。

つまり手強い寄生虫のことだ。
山梨、広島、佐賀、福岡の風土病であった。
福岡県の筑後川。
水田の水を採集し、その水に腕を浸すと、その部位がすぐにカユミを伴う赤い点が多数生じる。
水田のその水を顕微鏡で調べると、セルカニア(成虫にいたるまでの一形成)が活発に動いているのが見える。
皮膚を通して感染することが明らかになった。
セルカニアはやがて体内で成長し、肝臓に入りこむ。
お腹がはれ上がり、やがて死に至る。
口からではなく皮膚から侵入する寄生虫が日本住血吸虫。
1904年から約90年間も撲滅方法が研究され、
歳月がかかった。
どうして撲滅できたか?
筑後川の水の流れを速くしたのだ。
川の流れを速めるためにコンクリートで川を造り直したと言った方が、ズバリだ。
解かりやすい。
泥に囲まれた川は、壁の部分に当たる場所では水の流れが遅く滞る。
滞る所に日本住血吸虫のセルカリアが繁殖することを、約90年かけて終わらせた。
自然破壊をしなければ撲滅できなかった。
人間の命が優先されるのは、やはり人間社会だからだ。
東南アジアでは未だにこのセルカリアに命を落としている人たちがいる。
山梨では野鳥の生息していた白井沼を埋めてしまった。
これによって稲作をやめて、ブドウ、桃、梨の果実栽培に切り替えた。
今では山梨の名産物となった。
自然破壊をすることにより日本住血吸虫の風土病は消滅した。
河川は姿を変え、沼は消えてしまった。
熊本県の水害が起こるたびに考えさせられる。
これから将来において、人の命を守ろうとするのならば、ダムも必要だ。
が、人間は「まだは、もう。もうは、まだ」と愚かな生き物
でもあるから・・・。

Oimachi Act./おい街アクト

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