妻夫木聡、松山ケンイチの好演。若手が伸びていく 映画をもっと日本は作らないと

あなたが楽しむ本、音楽、映画は、あなたを投影している。
作品を観て、つまらないと感じるのは、
あなたが賢人か、無知かのどちらかであること。
だから映画には賛否両論あって面白いのだ。

今回紹介するのは
2011年公開作品の
「マイ・バック・ページ」。

今後の映画界を背負い立つ2人の若い演技派が
好演している。
松山ケンイチと妻夫木聡。

60年代、70年代初頭を実体験で生きた人には
見応えがある。それ以降のシラケ世代を”地”で生きた人には解からないかも。
ノンフィクションである。
1969年から1972年の時代背景。
ベトナム戦争、反戦運動、全共闘運動の時代。
「朝日ジャーナル」を読む若者が多かった。

この映画も、朝日新聞社の
「朝日ジャーナル」があったからこそ生まれた原作。そして映画だ。

今は評論家として紹介をしている川本三郎の
著作を基に脚本が仕上がっている。

著作は「マイ・バック・ページ」

ーある60年代の物語。
新聞社の週刊誌編集記者、沢田を演じるのが妻夫木聡。
革命家を名乗る大学生、梅山を松山ケンイチが。
この2人の関係はとても危なっかしい。

マスコミの取材の自由を使い過ぎてしまう沢田。
革命家の梅山を信じてしまう。
彼は取材側の立場を貫いていたつもりが、
知らぬうちに梅山を応援していくようなジャーナリストになっている。
それは「朝日ジャーナル」の目指したものであったかもしれないが、新聞社としての基盤
までも揺らがす”活動”であってはいけない。

ここが沢田の若さであり、
純粋さでもあるのだが。
革命家を自称する梅山も、
己の限界、闘争の行く末も実は知りつつ、
ウソぶいて生きるしかない無力さ、
したたかさを自覚している。

この若い2人が結局は時代に流されてしまい、沢田は梅山に移入していく。
梅山は沢田を知っていくうちに
彼の甘さにつけ込んでいく。

この2人は実に好演している。
あの60年代を経験していないのに。

相当に役柄を研究したと思わせる。
成りきっているのに感心した。
結末は実にむなしい。
が、ノンフィクションだから、これでいい。

映画は素晴らしい脇役が、彼らを支えている。長塚圭史(ながつか・けいし)、山内圭哉(やまうち・たかや)、三浦友和が偉そうで良い。あがた森魚も存在感がある。

この映画はヒットしなかったのか?
が、日本のあの時代を映画化したことには敬服したい。
映画化するのが遅かったと思うくらいに、
日本が変わってしまったし、
若者も元気がなくなった。
あんな時代が良かったとは思わないが、
今がいい時代とも思わない。
松山ケンイチが好演している。
妻夫木聡演じる若きジャーナリストの結末には同情してしまった。

「マイ・バック・ページ」
(2011年作品)
監督/山下敦弘
出演/妻夫木聡、松山ケンイチ、 忽那汐里、他

Oimachi Act./おい街アクト

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