スピルバーグが作ると、娯楽映画の色彩が濃いイスラエルの報復暗殺映画になってしまったが…

1972年9月5日に西ドイツのミュンヘン。

ミュンヘン・オリンピック開催中にパレスチナ武装組織「黒い九月」によりテロ事件が起きた。

イスラエルのアスリート11名が人質にとられ立てこもり、イスラエル政府に対し収監されているパレスチナ人234年の釈放の要求をつきつけてきた。

結局、西ドイツ政府が、自国民救護のために出動しようとしたイスラエル軍特殊部隊の介入を拒否し、自力解決をもくろんだが、人質全員他、警察官や脱出機の操縦士が死亡する結果になる。

西ドイツの狙撃手の数が犯人の数より少なかった。狙撃手の中には命令に従うことをためらう者がいた。
狙撃手の射撃訓練が実践的でなかったなど、敗戦後のドイツで行われた連合軍の占領政策の結果が、”平和的”な精神をドイツ国民に対して植え付けすぎたために、実践では使えない狙撃手しか育っていなかったと、問題が浮き彫りにされる。

この事件を教訓に、西ドイツ政府は特殊部隊の立て直しを図り、その後、例えば「ルフトハンザ航空181便ハイジャック事件」(1977年10月に起こった)では、解決させる能力を実証することになる。

スピルバーグが、2005年にミュンヘン・オリンピック開催中に起きたこの事件の、その後のイスラエルの報復を描いたのが「ミュンヘン」。

アカデミー賞5部門にノミネートされる作品ではあったが、イスラエル寄りの映画であると批判も強かった。
又、スピルバーグはユダヤ人でもあるし。

ストーリーは、テロを企てた”犯人”たちを、イスラエル機密情報機関”モサド”が暗殺チームを編成して、報復殺害を一人一人していくという内容。

この映画には主役のアウナー役のエリック・ハナ以上の役者が顔を出しているのが娯楽色を強めている。

報復メンバーの一人、ダニエル・クレイブ、
フランスの監督でもあり俳優でもあるマチュー・アマルリック、同じくマイケル・ロンズデール。マリ=ジョゼ・クローズは女の殺し屋として”美しく見せ場”を作ってくれている。

「ミュンヘン」はストーリーそのものよりも、役者を楽しめる映画としての価値が高い作品。

マチュー・アマルリックは今、フランスで注目されている監督、俳優。

この映画でも存在感ある役どころを見せてくれている。


●映画「ミュンヘン」(2005年アメリカ作品)
監督/スティーブン・スピルバーグ
出演/エリック・ハナ、キアラン・ハインズ、ダニエル・クレイブ/他

Oimachi Act./おい街アクト

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