松田優作が高倉健とマイケル・ダグラスを喰ったほどに熱演。「ブラック・レイン」

リドリー・スコット監督は日本をまるで理解していないか、故意に日本に対する偏見を強調して面白く作ろうとしたのか?

それは解からないが、映画の中の日本は変だ。
 
公開時観た時は、凄いミスキャストの映画だ、と一番に感じた。最近、改めて観たけれども、なんと劇画チックな映画‼
名作ではないと。

リドリー・スコットはSF映画「エイリアン」の監督で、こりゃ仕方ない、とも感じた。
予定では東京で撮影のはずが許可がおりず、
大阪でのロケとなった。
日本の役者が沢山出演しているが、アクの強い
人を揃えすぎたのでは?とも思う。
高倉健が建さんらしく演じているが、劇画チックな映画の世界では、浮いた存在になっている。
つまり高倉健もミス・キャストなのだ。
 
ヤクザ映画でしか通用しないタイプの日本の役者が、結局、映画の足を引っ張った感もする。
 
マイケル・ダグラスとアンディ・ガルシア(この頃は若い‼)の演技は悪くない。
この2人に高倉健を絡ませようとしているところが不自然極まりない。そして大阪府警察本部刑事部長も役者として、また人物像がいただけない。
 
松田優作のワル振りは、これまたスゴ味が出過ぎて、映画はさらに劇画チックへと昇りつめる。

若山富三郎のヤクザの親分も出すぎ。

竹内力也、ガッツ石松も脇役に徹した演技をしていないし、すべてがこの調子で、俳優のアクの強さばっかりが目につく。

果たして誰がメインで、誰が脇役であるかという線引きがあいまい過ぎて、バラバラ。まとまりのない映画に終わってしまったのだ。
 
松田優作とマイケル・ダグラス、アンディ・ガルシアだけで映画が作れていたのに、と思うほど贅肉の付すぎた作品になっている。
 
唯一の救いは、松田優作がこれが自分の遺作になると知った上での出演であった故に、捨て身の演技を見せてくれたことがファンにとっては忘れられない映画となったことだろう。
 
映画の中で一人、取り残されていた感ある高倉健。

古き良き役者も、大阪の街の作られ過ぎた濃いカラーには目立たない存在になってしまっていた。同時に日本もこの80年代後半から価値観が大きく変わっていくことを感じさせる映画であったことも改めて知ることができた。
 
●「ブラックレイン」
(1989年 アメリカ作品)
監督/リドリー・スコット
出演/マイケル・ダグラス、アンディ・ガリシア、高倉健、松田優作、他

Oimachi Act./おい街アクト

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